スイス、初の対中国政策を公表

Local news, 23.03.2021

3月19日にスイス連邦参事会が中国に関する政策を採択しました。

北京オリンピックスタジアム(鳥の巣)
北京オリンピックスタジアム(鳥の巣) ヘルツォーク&ド・ムーロン

スイスの対中国政策が初めて公文書の形でまとめられました。そこには2021年から2024年の中国政策の目的と施策が記されています。

なぜスイスが対中国政策を?

  • 他のヨーロッパ諸国と同様に、スイスでも、中国の経済的・地政学的台頭に関する国民的議論が激しくなっています。スイスと中国との関係は着実に強化されてきました。中国は今ではスイスにとって3番目に大きな交易相手国であるばかりか、協力関係は実質的に外交のあらゆる部門に及んでいます。政府外で中国とのコンタクトを持つ関係者の数も確実に増えています。広い意味では、これらの関係者も対中国政策を形成しています(議会、地域・地方政府機関、NGO、経済界、大学など)。
  • 中国と米国との地政学的緊張が高まっており、欧州連合(EU)は共通ルールの適用を強く主張しています。彼らの対抗意識は国際協力における活動範囲の制限につながり、そのような動きはスイスの国益に反します。輸出主導型経済を持つ中堅国家であるスイスは、法の支配と強力な多国籍機構に基づいた自由な世界秩序を強力に支援します。
  • すばらしい機会に恵まれる一方で、紛争の数が増加しています(人権、知的財産、世界の安全保障、技術、多国間主義における中国の役割、投資など)。このため、中国に対する我が国の外交政策の一貫性について幅広い議論が生まれています。

このように、スイス政府は、カントン(州)、経済団体、学界、市民社会との定期的な情報交換を含む、より戦略的な調整の必要性を認めました。

この対中国政策では、スイスの外交政策が掲げる4つのテーマ別重点領域、すなわち、平和と安全保障(人権を含む)、繁栄(例:商業、研究とイノベーション)、持続可能性、デジタル化における達成目標を示しています。スイスは中国政府との目標を定めた協力体制を目指します。公益を実現する上で、スイスはできる限り中国と西洋の観念の調整を行うよう努めます。このため、自由な世界秩序を維持することが重要であり、もし必要な状況になれば、スイスはためらわずに批判を表明します。

中国に対する我が国の政策方針を変えることが目的ではありません。中立で、原則と対話に基づくスイスの外交政策は、我が国の中国政策のよりどころであり続けます。

対中国政策についてのリンク(ドイツ語、フランス語、イタリア語版。英語版は追って公表)