第3回北極科学大臣会合にてマルティナ・ヒラヤマ長官が研究の重要性を強調

Local news, 20.05.2021

2021年5月8日と9日に、東京で開催された第3回北極科学大臣会合(ASM3)に、スイス教育研究イノベーション庁のマルティナ・ヒラヤマ長官がオンラインで出席しました。同会合では、北極圏の理解を深めるために科学と研究における国際協力を強化し、北極圏の政策やその決定における科学の役割を支援することを目的として、科学担当大臣と北極の先住民団体が一堂に会しました。スピーチの中で、ヒラヤマ長官は、脆弱な極地における気候変動の課題に対する研究の重要性と、この分野において国際協力が急務であることを強調しました。

第3回北極科学大臣会合
第3回北極科学大臣会合 ©在日スイス大使館

ASM3全参加国が署名した共同声明には、観測ネットワークの構築、データ共有、北極環境及び社会システムへの理解強化、能力開発を通じた次世代の育成など、将来の科学協力を支援するための協調行動が示されています。

ヒラヤマ長官は発言の中で、地球温暖化という喫緊の課題において、脆弱で複雑な極地や高山地帯を理解する必要性を述べました。また、この機会に、2020年8月にグリーンランド氷床上の研究ステーション「スイス・キャンプ」での現地調査中、事故により非業の死を遂げた、気候変動と極地科学におけるスイスの第一人者であり、先見の明に長けていたコンラッド・シュテフェン教授を追悼しました。

北極科学大臣会合は、協調的で包括的な北極における観測・研究に必要な施策について、国際レベルでのオープンで透明性の高い議論を可能にすることを目指しています。日本とアイスランドが共催した第3回の主要なテーマは「持続可能な北極のための知識」で、北極圏および非北極圏の国々における科学的知識と地域的知識の両方に重点を置き、次世代のための教育と能力開発に焦点を当てました。

スイスの極地への深い関わりは、極地と同様に、氷河期に形成され、後退しつつある氷河を有する山脈から成るスイスの地形に端を発しています。スイスの研究者たちは、過去100年にわたり、極地と高山地帯の研究と理解に大きく貢献してきました。人為的な環境変化の影響を測定するために、高高度と高緯度双方の生態系に重点を置き、研究を進めています。この取り組みは、科学的知見を高め、北極圏の変化が環境や社会経済に与える影響を抑えるための、スイスの継続的対策の一端を担っています。

スイス教育研究イノベーション庁(英語)