スイスはどのような状況においても死刑に断固として反対しています。死刑は人権違反であり、犯罪抑止力や(遺族の)感情鎮静の手段としてふさわしくありません。そのため、スイスは志を同じくする国家や、市民社会ならびに司法・政治のパートナーと共に世界的な死刑廃止に向けて努力しています。死刑廃止は人権擁護、そして世界の平和と安全に貢献するのです。
数十年前には死刑は普通に行われていましたが、今は例外的です。未だに死刑を執行しているのは全199ヶ国のうち2割を下回る38ヶ国だけです。いくつかの国では死刑復活をめぐる議論がありますが、スイスは自国の行動計画をもって世界的な潮流に貢献することを目指しています。
スイス外務省は具体的に3つの目標を掲げています。
- 2019年末までに現在より多くの国が死刑を廃止していること
- 死刑を実施する国が減り、死刑執行が減ること
- 死刑適用に関して拘束力のある国際最低基準がもっと遵守されるべきこと(例: 最重罪のみ死刑、未成年に死刑を実施しない、など)
スイス外務省はこれを政治的説得活動、国際的発議活動、現地プロジェクトを通じて達成するよう計画しており、3段階で行動します。
最初の段階では、死刑を廃止するよう、または少なくともその方向に進むよう各国に直接働きかけます。同時に、死刑を復活させないよう各国を説得します。
次の段階では、スイス外務省は死刑を適用する法的・政治的自由を国際的にもっと制限するべく努力します。ここで中心になるのは国連人権理事会でスイスが始めた一連の決議です。これらの決議は死刑に内在する人権侵害に注目を集め、その影響を受ける人たちの権利を守るよう各国に要求しています。
第3の段階では、スイス外務省は志を同じくする国々との協力を強化して、特に市民社会における死刑廃止運動の中心人物を支援します。
この行動計画は、人権に関するスイスの外交政策を実施するために利用可能な様々な手段と制度的に密接に関係するよう、スイス連邦内閣の外交方針ならびにスイス外務省の人権戦略に基づいています。